ご挨拶

豊かな人生を織り上げていただくために。

孝勝寺 副住職 上川 泰憲
孝勝寺 副住職 上川 泰憲

孝勝寺は大正時代に夕張市で開山して以来、炭鉱業に従事する多くの皆さまのために活動してまいりました。
炭鉱の閉山に伴い、札幌市など他所へ移住した檀家の方々の拠り所として平成6年に石狩太美に別院を建立し、20年間2カ所で活動してまいりましたが、今後は拠点を1カ所にまとめ、現在の別院を本院と改め、活動していく所存です。
現在、夕張市の檀家の皆様のお宅には毎月、月参りに出向いております。末永い関係を保てますよう宜しくお願いいたします。

現代は自然災害も多く、宗教は社会といかに関わるべきか、お寺が何を皆様に提供できるのか、人々の幸せに貢献していけるのかが問われている時代だといえます。

お寺とは「記憶装置」だと語っている人がおられます。お寺はご先祖さまに出会う場所であり、ご先祖さまと会話ができる場所です。自分もやがてここに眠り、いずれは孫たちがここに会いに来てくれる・・・。「お寺に行けば、ご先祖さまと子孫に会える」という安心感が生まれる場です。

また、日常ではなかなか感じられないことが、お寺では自然と感じることができるという方も多いと思います。それは、お寺が生と死の挟間にある空間であるからに他なりません。「いのちとは何か?」「生と死とは?」という人間の根源的な問いを発するにふさわしい場がお寺だといえるでしょう。

お寺は命の連鎖を知る場です。 お寺で連綿とつながる命の不思議さ、有り難さ、その豊かさを知る。そして、命の尊さを感じながら、心の内側を観じてみる。自分の内面を知ることで、ぶれない「軸」ができあがり、幸せな人生が創られてくのではないでしょうか。

一枚の美しい布を想像してみてください。
縦糸は、仏さまとご先祖さま。
横糸は、現世をともに生きる家族や友人たち。

自分という存在は仏さまとご先祖さまという縦の糸で結ばれ、家族や友人や仲間とは横の糸で結ばれています。縦と横の糸が上手に織られているからこそ、私たちは命を授かり、沢山の方々に支えられてこの世に生かされています。
縦と横の糸を決して無下にすることなく、そして織り方を間違うことなく、感謝しながら織りつづけてみる。やがて織り上がるのは、”幸福な人生”という名の布です。

お寺には仏教を基盤とする場の力があります。 その空間で自分に向き合いながら幸福な人生の布を織っていたただければ、と思います。

さらに、幸せを得て楽になるだけでなく、広く世界に眼を向け、苦しむ人々を助ける行動につなげることができれば、これもまた幸いなことです。

孝勝寺は人々がつどいコミュニュケーションができるお寺として、現在、心身の健康にコミットする活動も行なっています。

皆さまおひとりおひとりに幸せな人生を織り上げていただけたら、という願いとともに、孝勝寺は幸せづくりのきっかけを作る空間創りをはじめています。

孝勝寺 副住職
上川 泰憲